恐竜の詩』公式サイト




美しい山里の風景は、手つかずの自然や原生林なのではありません。そこに暮らす人々と自然が共存を図り、数百年をかけて作り上げた調和のとれた姿なのです。だからこそ、見る者をほっと和ませるのでしょう。山を愛し、川を愛し、きれいな空を愛する人々が育んできた穏やかな景色。しかし、そんな貴重な山里も、私達の経済活動や昨今の異常気象による災害で、少しずつ失われていこうとしています。


100年後の子供たちは、この山里の景色を見ることができるのでしょうか?それは、今を生きる私たちの行動にかかっているのです。


1億1000万年前、地上の支配者として日本にもたくさんの恐竜がいました。そこにはまだ国境もなく、彼らは行きたい場所に行き、食べたいものを食べ、自由に生きていたことでしょう。


そんな彼らが今の時代にやってきたら、さぞかし私達の生き方は滑稽に感じるかもしれません。1億 6500万年も続いたという恐竜時代。そんな悠久の時代を過ごした彼らから見ると、たった100年後の山里の姿すら心配する私たちの生活は、どのように映るのでしょうか?もし今、彼らと一緒に生活できたら、聞いてみたいことはたくさんありそうです。そんな畏敬の念を込めて、この物語を作りました。この映画が、日本の原風景を愛し、そこに暮らし守ろうとする人々に送るエールとなれば、大変うれしく思います。


監督 近兼拓史